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三井物産のDX組織戦略:CIOとCDOの統合により「攻めと守り」を一体化する

三井物産 真野雄司氏/鈴村良太氏 インタビュー


 5大総合商社の中でも資源ビジネスに強みを持つことで知られる三井物産。2023年3月期連結決算では当期利益が1兆円を超える過去最高を記録した。直近では資源価格の上昇と円安の恩恵を受けたとは言え、既存事業の収益性向上と新規事業創出への挑戦の2つは、今後の事業成長に不可欠である。その実現の鍵を握るのがデータ活用である。三井物産のデータドリブン経営について詳細を聞いた。

CDIOをリーダーとする三井物産のDX組織

(右)三井物産株式会社 常務執行役員 デジタル総合戦略部長 真野雄司氏<br />(左)三井物産株式会社 デジタル総合戦略部 データドリブン経営戦略室長 鈴村良太氏
(右)三井物産株式会社 常務執行役員 デジタル総合戦略部長 真野雄司氏
(左)三井物産株式会社 デジタル総合戦略部 データドリブン経営戦略室長 鈴村良太氏

 2023年5月末、三井物産は経済産業省が東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構と共同で選定する「DX銘柄2023」の1つに選定された。そのDXの軌跡は組織改革から始まったものだ。2019年10月に、いわゆる情シスに相当する「IT推進部」と、経営企画部の中にあった「DTチーム」の機能を統合し、現在の「デジタル総合戦略部」を設置した。

図1:三井物産のDX推進体制の変遷 出典:三井物産
図1:三井物産のDX推進体制の変遷 出典:三井物産 [画像クリックで拡大]

 さらにその半年後の2020年4月には、CIOとCDOを一人格とするCDIOをリーダーとする組織に改変している。日本企業のDX組織では、「守り」を担当するCIOと「攻め」を担当するCDOを置くケースが比較的多いが、攻めでもセキュリティの理解は必要になるし、守りでも事業の知識は必要だ。三井物産の場合は、真野氏が「分かれていると機能しないことがわかったので1つにしました」と説明するように、CDIOが攻めと守りの両方を見るようにしている。そのタイミングで、所管がバラバラだった営業系の個別システム、及び連結決算、人事・総務、物流などのコーポレートシステムを全てデジタル総合戦略部の管轄下に置くよう改めてもいる。現在のデジタル総合戦略部は11室6拠点260名体制で運営されており、三井物産グループ全体のDXを推進する役割を担う。

 この体制変更で所属するメンバーの意識にも変化が生じている。というのも、旧IT推進部時代は、エンドユーザーからの要望に応じてテクノロジーの実装を行なっていたのが、デジタル総合戦略部ではグループのDXをリードしなくてはならなくなった。「どちらかというと受け身の姿勢だったのが、経営者の視点で考えるように変わったと思います」と真野氏は語り、大規模な組織改革と共に意識改革を進めたことを示唆した。

 2023年4月現在のデジタル総合戦略部の体制は、図2のように大きく「フロント」「CoE(Center of Excellence)」「DX組織マネジメント」「海外」の4つの組織で構成されている。まず、フロントは16の事業本部との連携を密接にすることにより、事業本部からの要望への対応だけではなく、それぞれの事業本部が推進する戦略にインパクトのあるデジタル施策の提言ができる体制を目指している。6つのCoEは機能軸による専門組織であり、デジタルテクノロジー戦略室であればAIやデータサイエンティスト、デジタルインフラ室にはクラウド・ネットワークやサイバーセキュリティというように、機能領域ごとの専門知識を持つ人材が集まっている。DX組織マネジメントは、人事と共同での人材開発やDXに関する事業計画策定などに取り組んでいるDX人材開発室と戦略企画室がある。また、海外にも各拠点に対応する人材を配置している。

図2:多岐にわたる事業、機能、地域をカバーするデジタル総合戦略部の体制 出典:三井物産
図2:多岐にわたる事業、機能、地域をカバーするデジタル総合戦略部の体制 出典:三井物産 [画像クリックで拡大]

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DXの3つの戦略:「DX事業✕DD経営✕DX人材」

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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